



| カラム種類 | 得意領域 | 分離特性 | 弱点 | 適用シーン |
|---|---|---|---|---|
| ODS(C18) | 長鎖PFAS(C8以上) | 疎水性保持が強く、PFOS/PFOAなど規制対象の従来分析に最適 | 短鎖・超短鎖の保持不足 | 水質基準での長鎖PFAS定量、公定法準拠 |
| イオン交換xHILIC(Polar X) | 超短鎖、短鎖 | HILIC+弱アニオン交換のMixモードで超短鎖酸性PFASを保持、短鎖~中鎖の分離も安定 | 長鎖の疎水性保持はODSやIBDに比べ弱い | 超短鎖を確実に含める分析、TFA/DFA/TFMSを対象にしたモニタリング |
| PFP | 超短鎖PFAS(C1~C3)、短鎖~中鎖PFAS | π–π相互作用、双極子相互作用により短鎖保持とスルホン酸/カルボン酸識別に有効 | 長鎖の保持力が弱い | 短鎖PFASを含む追加分析、ODSとの補完 |
| 極性基内包型(IBD) | 超短鎖~長鎖まで全範囲 | 疎水性+極性相互作用で広範なPFASを一斉分離可能 | 完全にPFPに代替できるわけではない(官能基識別力はPFPに軍配) | 超短鎖を含めた一斉分析、規制拡大対応 |

PFAS(ピーファス)は「ペルフルオロアルキル/ポリフルオロアルキル化合物」の総称で、非常に安定した性質を持つため、消火用泡、フライパン等の撥水・耐熱コーティング、撥水性衣類や防汚カーペット、洗浄剤などに利用されてきました。環境中で分解されにくく、土壌・大気・地下水・都市ごみ・浸出水などから検出されています。代表例として PFOA(ペルフルオロオクタン酸)と PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)があります。
GenXとPFBSは、従来のPFOAやPFOSに代わる物質として2000年代に登場しました。GenX(HFPO-DAのアンモニウム塩)は2009年に導入。PFBS(ペルフルオロブタンスルホン酸)は2003年に導入。しかし両者とも健康や環境への影響が懸念されており、近年は環境試験所でPFOAやPFOSとあわせて測定対象になりつつあります。持ち、広範囲で検出例が報告されているためです。各国・自治体で規制や監視が進み、分析・管理の重要性が高まっています。
PFAS分析は、民間の環境分析受託ラボ、地方自治体や国の公的研究機関、水道事業体の検査室などで行われています。また、大学や食品・飲料メーカーのラボでも、原水の安全性確認のために分析されることがあります。最近では大気試料のPFAS分析も進んでおり、大気質検査を行うラボでもPFASを対象に加える動きが広がっています。
PFASの検出レベルは、地域や試料の種類(飲料水、排水、海水、土壌など)によって異なります。中でも飲料水は健康影響が大きいため、世界各国で安全の目安となる値(指針値・基準値)が設けられています。これらは非常に低いレベルで、ppt(ng/L)= 1兆分の1レベルで規制・管理されています。
例として:
◆日本:PFOS+PFOAの合計で 50 ng/L 以下(暫定目標値)。2026年4月からは水道水質基準として法的に適用されます。
◆米国:PFOA+PFOS合計で 70 ng/L(EPA 健康勧告値:法的拘束力はなし)。
◆スウェーデン:11種類のPFAS合計で 90 ng/L(行動基準値:超えた場合は対策を推奨)。
◆イタリア(ヴェネト州):PFOS ≤ 30 ng/L、PFOA ≤ 500 ng/L、その他のPFAS ≤ 500 ng/L。
◆ドイツ:従来はPFOS・PFOAなどの合計で 100 ng/L(予防的目安)。2026年以降はEU飲料水指令に基づきさらに厳格化予定。
◆オーストラリア:PFOS+PFHxSの合計で 70 ppt、PFOAで 560 ppt(飲料水基準)
LC-MS/MSは高感度・高選択性の分析法で、多成分を同時に測定できます。ただしPFAS分析では特有の課題があります。
それは、分析装置自体に使われているPTFE(テフロン)などのフッ素樹脂部品からPFASが溶け出すことです。ポンプシール、移動相ライン、デガッサーの内張り、バイアルのキャップなど多くの部品に含まれており、これがバックグラウンド汚染として現れます。
飲料水分析ではpptレベルの検出が必要になるため、わずかな溶出でも定量を妨げる大きな要因となります。
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PFAS分析のコンタミ防止ガイド
簡単な方法は、カラムに移動相を30分程度流してPFASをカラムに濃縮し、その後ブランク注入を複数回行ってクロマトグラムを確認することです。1回目のブランク注入でPFAS由来ピークが確認されたものの2回目以降のブランク注入には出現しない、またはピーク自体が小さくなるようであれば、「インジェクタより上流に位置する装置由来のPFAS汚染」である可能性が高いです。2回目の注入以降も同程度のピーク面積が観察された場合は、インジェクタや注入しているブランクの汚染も疑われます。
飲料水などpptレベルの極低濃度分析では、試料中のPFASだけを正確に検出することが求められます。もし装置由来のPFASが試料由来のPFASと同じ保持時間で溶出すると、正しい定量ができなくなります。
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PFAS分析におけるディレイカラムの重要性とその効果(動画)
PFASディレイカラムはインジェクタの手前に設置し、装置由来のPFASを一旦捕捉して遅らせて溶出させる役割を持ちます。これにより、試料由来のPFASと同時に溶出するのを防ぎます。試料のPFASは通常の鋭いピークとして現れますが、装置由来PFASは「ベースラインの持ち上がり」として後から出るため、定量に干渉しません。
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ディレイカラムを用いたシステム由来PFASの妨害除去
Restekでは、従来型(レガシー)PFAS化合物のうち、分岐構造を持つ異性体に「br-(branched)」という接頭語を付けています。従来型PFASとは、すでに製造や使用は終了しているものの、環境中に残留している化合物を指します。一方、非従来型PFAS(新規PFAS)には、特別な記号は付けておらず、特に記載がない限り、直鎖構造のみを指しています。
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