20 Years Biphenyl LC | Pioneered by Restek

【フォーカス】PFAS分析



1.PFASってそもそも何なのか?

PFAS(ピーファス)とは?

Per- and Polyfluoroalkyl Substances

自然界には存在しない人工的な有機化合物の総称。約6,000種の関連化合物があると言われています。
PFASは、水をはじく撥水性と油をはじく撥油性との両方の特性をもっています。 ​高い耐熱性・撥水性・耐薬品性のため、撥水スプレーやアウトドアウェア、調理器具、食品包装材の表面処理といった身の回りで日常的に使用されています。​空港や軍事基地では、火災が発生したときの消火剤にも含まれています。​しかし、一度環境中に放出されると分解されにくく、長期間残留する性質があるため、「永遠の化学物質(Forever Chemicals)」とも呼ばれています。その蓄積による健康への影響が懸念され、国際的に規制や対策が進められています。

代表的な物質:
PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)
PFOA(ペルフルオロオクタン酸)
日常生活で使用している製品に含まれるPFAS

2.PFAS分析・規制について

2-1.炭素鎖長・官能基による分離の違い

PFASは炭素鎖の長さ(長鎖・短鎖・超短鎖)や官能基の種類(スルホン酸・カルボン酸など)によって保持特性が大きく異なります。そのため、カラム選択や分離モードを工夫することが不可欠です。

長鎖PFAS(C8以上、例:PFOS, PFOA)

疎水性が高く、ODS(逆相C18)カラムで十分な保持が得られます。ピーク形状も安定しており、従来の規制対象物質はODSで良好に分離可能です。

短鎖PFAS(C4〜C7、例:PFHxA, PFBS)

ODSでは保持が弱く、溶出が早すぎるためピーク形状が不安定になることがあります。この場合、保持力を高めた逆相カラム(ODS改良型)や、イオン交換モード(特にアニオン交換)を組み合わせることで分離性能が向上します。

超短鎖PFAS(C1〜C3、例:TFA, DFA)

疎水性が極めて低く、ODSではほとんど保持されません。そのため、イオン交換カラムや親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)、極性基内包型カラムを用いた分離が研究されています。国内外で分析法が確立途上ですが、今後規制対象に加わる可能性が高いため重要視されています。

官能基の違い(スルホン酸 vs. カルボン酸)

一般にスルホン酸の方が保持が強く、カルボン酸はより溶出しやすい傾向があります。したがって、同じ鎖長でもスルホン酸とカルボン酸の保持挙動を理解したカラム選択が必要です。

このように、「鎖長」と「官能基」の二つの要素が分離の成否を左右するため、目的化合物に応じてODS・イオン交換・HILICなどを適切に使い分けることが分析の鍵となります。

2-2.一斉分析の考え方

実際の試験では、個々の化合物を対象にするのではなく、多成分PFASを一斉に分析する方法が主流になりつつあります。例えば、EPA 537.1メソッドは18種類、EPA 533メソッドは25種類のPFASを対象としており、両メソッドを組み合わせることで29種類を一度に測定できるよう設計されています。いずれのメソッドもLCのカラムにはODS(C18)を基本とした条件を用い、短鎖から長鎖まで幅広く対応可能です。ただし、これらのメソッドはいずれもC4以上を対象としており、TFA, DFA, TFMSといった超短鎖(C1~C3)PFASは含まれていません。

一方で、国内外の水質試験や食品残留分析では、規制対象の拡大を見据え、数十種類規模のPFASを同時にモニタリングできる一斉分析法の開発が進んでいます。従来の一斉分析はC4以上が中心でしたが、近年ではC1〜C3の超短鎖PFASも注目され始めており、これらを含めた同時分析は実務上の課題となっています。そのため、広範な保持特性をカバーできるカラム選択が欠かせません。とりわけ超短鎖を含める場合には、ODS単独では保持が不十分なケースが多く、ODS+イオン交換の組み合わせや極性基内包型カラム、あるいはHILICやミックスモードといった特殊な分離モードの活用が検討されています。
カラム種類 得意領域 分離特性 弱点 適用シーン
ODS(C18) 長鎖PFAS(C8以上) 疎水性保持が強く、PFOS/PFOAなど規制対象の従来分析に最適 短鎖・超短鎖の保持不足 水質基準での長鎖PFAS定量、公定法準拠
イオン交換xHILIC(Polar X) 超短鎖、短鎖 HILIC+弱アニオン交換のMixモードで超短鎖酸性PFASを保持、短鎖~中鎖の分離も安定 長鎖の疎水性保持はODSやIBDに比べ弱い 超短鎖を確実に含める分析、TFA/DFA/TFMSを対象にしたモニタリング
PFP 超短鎖PFAS(C1~C3)、短鎖~中鎖PFAS π–π相互作用、双極子相互作用により短鎖保持とスルホン酸/カルボン酸識別に有効 長鎖の保持力が弱い 短鎖PFASを含む追加分析、ODSとの補完
極性基内包型(IBD) 超短鎖~長鎖まで全範囲 疎水性+極性相互作用で広範なPFASを一斉分離可能 完全にPFPに代替できるわけではない(官能基識別力はPFPに軍配) 超短鎖を含めた一斉分析、規制拡大対応

2-3.最新の法規制(飲料水基準、排水規制など)

日本では2020年に、PFOSとPFOAが水道水の暫定目標値(合算で50 ng/L)として設定され、2026年4月からは水道水質基準(法的規制値)として施行される予定です。今後はPFHxSなど他のPFASの追加も検討が進められています。現時点で規制値が明確に定められているのは水道水のみですが、その他の環境マトリクス(土壌、底質、排水など)についても、環境省などが分析法を整備しており、全国的なモニタリングに活用されています。

環境省や国立環境研究所は、土壌・底質中のPFASについて暫定的な分析法マニュアルや測定法を公表しており🔗出典:土壌に含まれるPFASの一斉分析暫定マニュアル[農研機構]、自治体や研究機関でのモニタリングに活用されています。焼却残さ・排水についても、廃棄物処理や処理技術に関する留意事項・資料🔗出典:残留性有機汚染物質(POPs)廃棄物に関する技術的留意事項[環境省]などが提示されていますが、すべての媒体で標準化された測定法が確立しているわけではありません。これらはいずれも規制値を伴う法令ではなく「指針・メソッド」という位置づけですが、実務上は広く参照され、モニタリングの現場で標準的に利用されています。

法令上の分析法が十分整備されていない分野においては、ISO 21675(2019)などの国際規格や、米国 EPA の Methods 533, 537.1 等が国内においては参照・採用されることが多く、国際的な分析メソッドが実質的に標準として利用されています。

また、これらの分析において、認証標準物質(CRM)の使用は法令で義務付けられてはいませんが、ISO/IEC 17025 に基づく試験所認定や品質保証の観点から、認証標準物質の使用が強く推奨 されており、サロゲート標準物質やアイソトープ標記標準物質の利用・回収率の確認についても推奨されています。(🔗認証標準物質とは?

米国(EPA / FDA)

EPA 537.1 と 533 は飲料水を対象とし、20種類前後のPFASを一斉に分析できるよう設計されています。対象は主にC4以上で、超短鎖(C1~C3)は含まれません。EPA 1633 は飲料水にとどまらず、土壌・底質・生体組織を含む包括的メソッド であり、40種以上のPFASを同時に分析可能です。また、FDA の “CAM C-010.02 PFAS in Food” などのメソッドでは、食品中の PFAS を QuEChERS 前処理+LC-MS/MS によって分析し、同位体標識サロゲート/内部標準を添加して回収率や定量精度を確保する手順が定められています。

これらのメソッドでは、安定同位体標識内部標準を使用することが義務付けられており(例:EPA 1633A では ”isotopically labeled internal standards” を用いた校正・定量が明記されています)、外部標準(認証標準物質)の使用は法令上の義務ではないものの、品質保証・精度管理の観点から強く推奨されており、可能な限り使用することがメソッドの注釈等で示されています。(🔗PFASの国際規制ガイドラインと分析方法 完全ガイド

欧州(EU)

欧州連合では飲料水指令により、20種類のPFAS合計(100 ng/L)およびすべてのPFAS総量(500 ng/L) が規制パラメータとして設定されています。さらに、EFSA(欧州食品安全機関)は食品中PFASのリスク評価を実施し、食品接触材への使用制限を通じて規制強化しています。

CRM使用について規制文書で明確に義務化されてはいませんが、ISO/IEC 17025やILAC MRAに基づく試験所認定・品質保証の観点から強く推奨され、EURLガイダンスも同位体標識内部標準(ILIS)の添加や参照物質/標準溶液の管理、回収率確認などのQCを詳述しています。**さらに詳しく→ PFASの国際規制ガイドラインと分析方法 完全ガイド
🎥 もっと!PFAS分析: 規制PFASから話題の超短鎖PFASまで、海外動向と分析手法を一挙公開!
PFAS規制は食品や化粧品など多分野に拡大中。本ウェビナーでは、海外の規制動向から超短鎖PFASの分析技術まで、最新の測定手法をわかりやすく解説。Restek製品を使った効率的な分析ソリューションも紹介します。研究・品質管理担当者の皆様、必見です!
🎥 緊急開催! 環境検査ラボ必見の アップデート版EPA1633準拠 PFAS前処理アプローチ
EPA1633:EPA1633に対応するための前処理方法や分析について解説。海外動向:2024年開催ウェビナーですが、国際的なPFAS規制や測定技術のこれまでの歩みとトレンドを解説

3.PFAS分析の前処理

PFASの分析では、試料の種類によって最適な前処理法が異なります。特に重要なのは、環境水・飲料水、食品、そして土壌といった代表的なマトリクスごとに、それぞれ確立されたアプローチが存在するという点です。

環境水や飲料水:固相抽出

環境水や飲料水の分析では、固相抽出(SPE)が標準的に用いられています。カートリッジやディスクに充填された吸着材に試料を通し、PFASを効率的に保持・濃縮したのち、有機溶媒で溶出して分析に供します。この方法は妨害成分を除去しやすく、再現性が高いため、EPA 537やISO 21675などの公定法でも採用されています。とくに陰イオン性PFASの捕捉には弱アニオン交換(WAX)系の吸着材が有効であり、信頼性の高い分析結果を得るためには、器具や溶媒からのブランク汚染を極力抑える工夫も欠かせません。

食品や土壌:QuEChERS

食品や土壌といった複雑なマトリクスには、QuEChERS法が広く応用されています。これは農薬残留分析で確立された手法で、アセトニトリルによる抽出、塩類による分配、さらに分散型固相抽出(d-SPE)による精製というプロセスを組み合わせています。前処理の簡便性と迅速性に優れており、多数の検体を短時間で処理できる点が強みです。ただし、抽出効率や回収率は対象とするPFASの種類や試料特性に依存するため、安定同位体標識PFASを内部標準として併用し、精度を担保するのが望ましいと言えます。

直接注入法:前処理なし

近年では環境水を中心に、前処理を極力省いて試料を直接LC-MS/MSに導入する「直接注入法」も研究されています。最新の高感度質量分析装置を前提とした手法で、従来のSPEに比べて定量下限の調整が難しくなるものの、汚染リスクを低減できるという利点があります。ただし、適用できるのは比較的クリーンな試料に限られており、実用化はまだ限定的です。
このように、水系試料にはSPE、食品や土壌にはQuEChERSがそれぞれ標準的に用いられ、さらに新しい直接注入法も研究段階にあるという整理が、現状のPFAS前処理の全体像といえます。
🎥 QuEChERSを基礎から学ぶ 前編
QuEChERSってなに?から始めます。ゼロ知識から学べる入門編!
🎥 ゼロから始める食品中PFAS分析入門
食品中PFAS分析をこれから始めたい方や、始めたばかりの技術者を対象に、基本とコツをしっかりと学ぶための基礎セミナー

5.よくあるご質問(FAQ)

PFASのきそ・キソ・基礎

PFASとは何ですか?

PFAS(ピーファス)は「ペルフルオロアルキル/ポリフルオロアルキル化合物」の総称で、非常に安定した性質を持つため、消火用泡、フライパン等の撥水・耐熱コーティング、撥水性衣類や防汚カーペット、洗浄剤などに利用されてきました。環境中で分解されにくく、土壌・大気・地下水・都市ごみ・浸出水などから検出されています。代表例として PFOA(ペルフルオロオクタン酸)と PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)があります。

GenXとPFBSとは何ですか?

GenXとPFBSは、従来のPFOAやPFOSに代わる物質として2000年代に登場しました。GenX(HFPO-DAのアンモニウム塩)は2009年に導入。PFBS(ペルフルオロブタンスルホン酸)は2003年に導入。しかし両者とも健康や環境への影響が懸念されており、近年は環境試験所でPFOAやPFOSとあわせて測定対象になりつつあります。持ち、広範囲で検出例が報告されているためです。各国・自治体で規制や監視が進み、分析・管理の重要性が高まっています。

検査・分析機関

PFASを検査するのはどんな検査機関ですか?

PFAS分析は、民間の環境分析受託ラボ、地方自治体や国の公的研究機関、水道事業体の検査室などで行われています。また、大学や食品・飲料メーカーのラボでも、原水の安全性確認のために分析されることがあります。最近では大気試料のPFAS分析も進んでおり、大気質検査を行うラボでもPFASを対象に加える動きが広がっています。

PFASはどのくらいの濃度で検出されますか?

PFASの検出レベルは、地域や試料の種類(飲料水、排水、海水、土壌など)によって異なります。中でも飲料水は健康影響が大きいため、世界各国で安全の目安となる値(指針値・基準値)が設けられています。これらは非常に低いレベルで、ppt(ng/L)= 1兆分の1レベルで規制・管理されています。
例として:
◆日本:PFOS+PFOAの合計で 50 ng/L 以下(暫定目標値)。2026年4月からは水道水質基準として法的に適用されます。
◆米国:PFOA+PFOS合計で 70 ng/L(EPA 健康勧告値:法的拘束力はなし)。
◆スウェーデン:11種類のPFAS合計で 90 ng/L(行動基準値:超えた場合は対策を推奨)。
◆イタリア(ヴェネト州):PFOS ≤ 30 ng/L、PFOA ≤ 500 ng/L、その他のPFAS ≤ 500 ng/L。
◆ドイツ:従来はPFOS・PFOAなどの合計で 100 ng/L(予防的目安)。2026年以降はEU飲料水指令に基づきさらに厳格化予定。
◆オーストラリア:PFOS+PFHxSの合計で 70 ppt、PFOAで 560 ppt(飲料水基準)

分析手法の特徴

PFAS分析は他のLC-MS/MS分析と何が違いますか?

LC-MS/MSは高感度・高選択性の分析法で、多成分を同時に測定できます。ただしPFAS分析では特有の課題があります。
それは、分析装置自体に使われているPTFE(テフロン)などのフッ素樹脂部品からPFASが溶け出すことです。ポンプシール、移動相ライン、デガッサーの内張り、バイアルのキャップなど多くの部品に含まれており、これがバックグラウンド汚染として現れます。
飲料水分析ではpptレベルの検出が必要になるため、わずかな溶出でも定量を妨げる大きな要因となります。
さらに詳しく→ PFAS分析のコンタミ防止ガイド

装置と汚染確認

LCシステムにPFAS汚染があるか確認する方法は?

簡単な方法は、カラムに移動相を30分程度流してPFASをカラムに濃縮し、その後ブランク注入を複数回行ってクロマトグラムを確認することです。1回目のブランク注入でPFAS由来ピークが確認されたものの2回目以降のブランク注入には出現しない、またはピーク自体が小さくなるようであれば、「インジェクタより上流に位置する装置由来のPFAS汚染」である可能性が高いです。2回目の注入以降も同程度のピーク面積が観察された場合は、インジェクタや注入しているブランクの汚染も疑われます。

なぜ装置由来のPFASを分離する必要があるのですか?

飲料水などpptレベルの極低濃度分析では、試料中のPFASだけを正確に検出することが求められます。もし装置由来のPFASが試料由来のPFASと同じ保持時間で溶出すると、正しい定量ができなくなります。
さらに詳しく→ PFAS分析におけるディレイカラムの重要性とその効果(動画)

PFASディレイカラムはどのように役立ちますか?

PFASディレイカラムはインジェクタの手前に設置し、装置由来のPFASを一旦捕捉して遅らせて溶出させる役割を持ちます。これにより、試料由来のPFASと同時に溶出するのを防ぎます。試料のPFASは通常の鋭いピークとして現れますが、装置由来PFASは「ベースラインの持ち上がり」として後から出るため、定量に干渉しません。
さらに詳しく→ ディレイカラムを用いたシステム由来PFASの妨害除去

標準溶液について

PFAS標準溶液の対象となる化合物名についている「br-」は何を指しますか?

Restekでは、従来型(レガシー)PFAS化合物のうち、分岐構造を持つ異性体に「br-(branched)」という接頭語を付けています。従来型PFASとは、すでに製造や使用は終了しているものの、環境中に残留している化合物を指します。一方、非従来型PFAS(新規PFAS)には、特別な記号は付けておらず、特に記載がない限り、直鎖構造のみを指しています。
PFAS分析用認証標準物質一覧ページはこちら

デモカラム・サンプル請求フォーム

この度はRestek【フォーカス】PFAS分析 ページにお立ち寄りくださり、誠にありがとうございます。

下記フォームにご記入いただくことで、デモカラムや試供品のご希望を承ります。
ご希望の製品名やご質問がございましたら、自由記入欄にご記入ください。担当者よりご連絡いたします。
今後のご参考や製品検討にお役立ていただけましたら幸いです。
* は必ずご記入ください。

















当てはまるもの全てを選んでください。






当てはまるもの全てを選んでください。
※日本国内からのお申込み限定​
This form is intended for customers in Japan only.​
※本お申し込みはデモカラムや試供品の提供を確約するものではありません。
内容によってはご提供できない場合がございます。あらかじめご了承ください。​
Please note that submitting this form does not guarantee the provision of a demo column or sample product. ​
Depending on the request details, we may not be able to fulfill your request. Thank you for your understanding in advance.
Focus PFAS Contact form - JP
Copyright © 2025 Restek Corporation. All rights reserved.